こだわりたい、でも価格も気になる。ハンドメイド作家のジレンマ

制作・ハンドメイドのこと

素材にこだわりたい。でも、高くなりすぎると手に取ってもらえない。
そんな“ものづくりのジレンマ”と日々向き合いながら、納得のいく価格と品質のバランスを探しています。
「どうしたらこの想いをカタチにできるだろう?」と悩みながらも、ひとつひとつの選択を積み重ねてきた日々。
今日はそんな制作の舞台裏について、少し熱を込めて綴ってみます。


いいものを使いたい、でも価格の壁

理想と現実のはざまで

もかとも
もかとも

使いたい!でも高い…毎回、葛藤します

上質な帆布や裏地、真鍮の金具……。
「これを使えば、もっと素敵になる」とわかっていても、それをすべて採用すると価格が跳ね上がってしまう。
理想を追う気持ちと、現実とのギャップ。
それでも、作り手として譲れない部分がある。
そんな葛藤を抱きながら、毎回、材料を選んでいます。

「これはいい」と思っても、その分コストが跳ね上がる。
いい素材は、やっぱりそれなりの値段がするんです。
でもその分、仕上がりの雰囲気も、手触りも、長く使ったときの満足感も違ってきます。

「作るなら、ちゃんと作りたい。」
そんな想いがあるから、どうしても“妥協しない選択”をしてしまう。
けれど、毎回その選択をすると、当然ながら価格に跳ね返ってくる。だからこそ、毎回本当にそれが必要か、誰かの役に立つか、悩んで、選んで、作っています。

価格は無限には上げられない

「この素材を使えば…」と心惹かれても、
お客様が手に取りにくい価格になってしまったら、せっかくの想いも届かないかもしれない。
そんな不安がよぎります。
ものづくりの手を止めないために、届けたい人にちゃんと届く価格であることも、大切にしたい。

価格を上げれば、その分のこだわりや良さは詰め込める。
でも、ハンドメイドは「日常の中にあるちょっとした彩り」であってほしいから、
あまりにも高価になってしまうと、気軽さが失われてしまう気がするんです。

だからこそ、“作り手の理想”と“使い手の気持ち”を両方大切にしたい。
どちらかだけに偏らないよう、いつもそのバランスを見つめながら、ひとつひとつの価格を決めています。


価格の決め方についてはこちらで書いてます。

最初の価格設定、どう考えた?わたしの試行錯誤
ハンドメイド販売で悩んだ価格設定。材料費、利益、相場…最初にどう考えて、どこで試行錯誤してきたかを正直にお話しします。

少しずつの見直しで“今”をつくる

価格と品質のバランスを探して

最初から完璧なバランスがとれていたわけではありません。 作って、見直して、また作って。 その繰り返しの中で、価格や材料、制作工程を少しずつ調整しながら、 「今の価格で、いちばんよい仕上がりになるには?」と常に模索しています。

素材を見直すきっかけはさまざまです。 お客様からの感想やクレームがヒントになることもあれば、たまたま使ってみた素材が思いのほかよくて、 「この仕上がりで統一したい!」と、商品価格と材料費のバランスの取れる材料を取り寄せては試す日々もありました。

使い心地や見た目に少しでも違いが出ると感じたら、それはもう見直しの合図。 日々の制作の中に、そんな“気づきの瞬間”がたくさんあります。

目に見えない素材も大切に

見える部分の素材はもちろんですが、芯材や糸、裏側に使う補強材など、
目には触れない部分にこそ、気を配っています。
それが、使ったときの軽さや丈夫さ、快適さにつながっていると思うから。
小さなこだわりの積み重ねが、バッグ全体の完成度を支えています。

ミシン糸一つでも、「もっとよいものがあるかも?」と調べてみたり、
印つけの道具も色々試した中で、「今の自分にちょうどいい」を見つけたり。
道具も素材も、“日々の使い心地”で変えていけるのが、作り手の特権だと思います。

もかとも
もかとも

新しい道具は試したくなるんですよね!
全然使えないと思うものもたくさんありました。笑

正解はないけれど、探し続けている

「これが正解」というゴールがないからこそ、
もっと良い材料、もっと使いやすい道具を日々探しています。
それは、ほんの少しの変化かもしれません。
でも、その“少し”を積み重ねていくことで、
今よりもっと納得できるものづくりに近づけると信じています。

使う人にとっての心地よさ。
作る自分にとっての作りやすさ。
そのどちらも大切にするために、「これでいいのかな?」と立ち止まり、調べて、試して、続けています。

「この先、もっと良いバッグが作れるかもしれない」
その可能性がある限り、素材も価格も、ずっと見直し続けていくと思います。


おわりに

ハンドメイドの価格には、「材料費」や「手間」だけでなく、
「作り手の選択」と「揺れる気持ち」も詰まっています。
すべてを語ることはないけれど、バッグを手にしたとき、
ほんの少しでも、そんな想いが伝わったら。
そう願いながら、今日もミシンに向かっています。

そしてこれからも、素材と価格、こだわりと使いやすさ、そのすべての“ちょうどいい”を探しながら、ものづくりを続けていきたいと思います。

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