ハンドメイド作品をネットで販売するようになって、少しずつ気づいたことがあります。
それは、プロフィール文やショップ紹介文も、“作品の一部”だということ。
初めてショップを訪れた方が、その作家がどんなものづくりをしているのか、どんな想いで届けているのか――。
写真や商品説明だけでは伝えきれない「人となり」や「姿勢」を、言葉がそっと補ってくれるように思います。
今回は、わたしがプロフィールや紹介文をどんなふうに考えてきたか、その変化と工夫についてお話しします。
最初は“とりあえず”で書いていた紹介文
はじめは自己紹介だけ。「とにかく書かなきゃ」だった

販売を始めたころの紹介文は、とにかく「何か書かなきゃ」という気持ちで整えたものでした。
内容は、これまでの経歴やハンドメイドの活動、今の制作環境について――
いわゆる“自己紹介”のような、事実を並べたシンプルなものでした。
距離感がむずかしい。親しみと線引きのあいだで
お客さまとの距離感も悩みどころでした。

どこまでフランクにしていいのか、正直わたしも最初は手探りでした。
たとえばメルカリでは、親しみやすさが大切にされる一方で、あまりにカジュアルすぎると線引きが難しい。
だから、近づきすぎず、でも業務的になりすぎないように、言葉のトーンにはとても気を使っていました。
自己紹介だけでは伝わらない。必要な情報に気づいて
今振り返ると、当時の紹介文は、信頼感はあっても、“お客さまのためになる情報”は少なかったかもしれません。
今は、発送の目安や取引時のお願いごと、やりとりの心構えなど、安心してお買い物していただけるような実用的な内容も盛り込むようにしています。
minneでは、「プロフィール」と「ショップ紹介」を分けて記載できるのがとても便利。
作品の世界観は紹介文に、作家としての姿勢や想いはプロフィールに――
そんなふうに役割を分けて言葉を整えられるのが、気に入っている点のひとつです。
伝えたいのは「作品」より「姿勢」
作品の魅力は、言葉で“補う”もの
プロフィールや紹介文は、はじめのうちは「商品とは別のもの」だと思っていました。
でも、販売を続けるうちに気づいたのは、作品だけでは伝えきれない“姿勢”が、選ばれる理由になるということでした。
たとえば、素材をどんなふうに選んでいるのか。
どういう気持ちで、日々制作に向き合っているのか。
そういうことって、作品そのものを見ただけでは、なかなかわかりません。
ていねいに作っているだけでは、伝わらない
「ひとつひとつ、心を込めてつくっています」という言葉。
たしかにそのとおりなのだけれど、それだけでは同じような言葉が並んでしまって、埋もれてしまうことも。
わたし自身、「ていねいな手仕事です」と書いていた時期がありますが、
どこか抽象的で、自分の言葉じゃないような気がしていました。
それよりも、「どうして帆布にこだわっているのか」「どんな暮らしの中で使ってほしいと思っているのか」。
自分がどこに気持ちを込めているのかを、できるだけ自分の言葉で書くことの大切さに、少しずつ気づいていきました。
「誰が作っているのか」で選ばれることもある
ネット販売では、お客さまは実物を手に取ることができません。
だからこそ、「誰が作っているのか」も、安心して選んでもらう理由のひとつになると感じています。
ていねいな写真、ていねいな文章、そして誠実なプロフィール。
すべてが少しずつ積み重なって、「この人から買いたい」と思っていただけるのだと信じています。
今の紹介文に込めている思い
説明ではなく、“雰囲気”を届けたかった
以前の紹介文は、「何を作っているか」「どういう素材を使っているか」といった“情報”が中心でした。
でも今は、そこに「どんな人が、どんな気持ちで作っているか」という空気感を添えることを意識しています。
読み手が紹介文から感じとるのは、文章の“内容”だけではなく、“温度”や“距離感”。
「このショップ、なんだか安心できそう」――そんなふうに思ってもらえるように、言葉の選び方を整えています。

あたたかくて、やさしくて、「読んで安心できるな」って思ってもらえたらうれしいなあって。
自分の言葉で、等身大に書く
書くときは、背伸びしないこと・飾らないことを大切にしています。
たとえば「おしゃれな言葉を使おう」と頑張るよりも、「ふだん自分が友人に話すような言葉」で書くほうが、自分らしさが伝わる気がしています。
あまり具体的に語りすぎても堅苦しくなるし、抽象的すぎてもぼやけてしまう。
その間を探りながら、「伝わる」より「にじむ」ような言葉を目指しています。
“ショップの顔”としての言葉選び
紹介文やプロフィール文は、ある意味でショップの顔だと思っています。
どんなに写真や作品にこだわっていても、言葉で違和感があると、それだけで信頼が薄れてしまうことも。
だからこそ、「誰に向けて書いているか」を意識することも忘れずにいます。
お客様と対話するように、安心して読み進めてもらえるように、やわらかくて、心の届く文に整えるよう心がけています。
お客様からの反応や気づき
プロフィール文が“直接の決め手”になることは少ない
正直なところ、プロフィール文や紹介文を見て「購入を決めた」といった反応を直接いただいたことは、ありません。
それよりも、お客さまとのメッセージのやり取りの中で「誠実な対応をありがとう」と言っていただけることのほうが多いです。
文章から人柄が伝わるというよりも、やり取りのひとつひとつが信頼につながっているのだと感じます。
でも、安心してもらうための「土台」にはなる
だからといって、プロフィール文やショップ紹介が意味のないものかというと、そうではありません。
たとえば、購入前に少し不安を感じている方が読んだとき、
「どんな人が、どんな姿勢で販売しているのか」が伝わることは、大きな安心材料になると感じています。
たとえ直接の反応がなくても、プロフィールは“見えない安心”を支える土台。
だからこそ、今は「作品づくりだけでなく、ショップとしてどう向き合っているか」まで言葉にして伝えることを大切にしています。
言葉は静かに、信頼を育ててくれる
たった一文がすぐに信頼につながることはなくても、
その言葉の積み重ねが、ショップ全体の印象を静かに育ててくれるのではないかと思っています。
プロフィール文や紹介文は、「読まれるため」よりも「伝わるため」に整えるもの。
購入の背中を押すきっかけにはならなくても、安心してもらうための“支え”として、これからも見直していきたいと思っています。

まとめに
プロフィール文やショップ紹介は、作品そのものではありません。
でも、お客様に安心して選んでもらうための“言葉のものづくり”だと、わたしは思っています。
最初はただの自己紹介でしたが、取引を重ねるうちに、
言葉にも「その人らしさ」や「姿勢」がにじみ出ることに気づきました。
上手な文章じゃなくても大丈夫。
自分の言葉で、自分のリズムで、「ここから届きます」と伝えられたら。
それだけでも、きっと届く安心につながっていくと思います。
次回は、ショップの入り口となるトップページについて、私なりの工夫をお話ししますね。

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